核融合科学研究所土岐地区放射線 モニターシステムRMSAFEの開発(III)

核融合科学研究所 ○三宅 均,小平純一,山西弘城,佐久間洋一, 宇田達彦,平林洋美,大林治夫

このシステムの概要と稼動状況については昨年度の高エネルギー物理学研究所技術研究会にお いて報告した。この中で,放射線モニターによる自然放射線の測定値が降雨により大きく増加 することを紹介した。核融合科学研究所では敷地境界における実験起因放射線の年間積算線量が 50マイクロシーベルトと極めて低く制限されていることから,降雨による自然放射線の増加を 識別するなんらかの対策が今後の課題として残った。このような降雨による影響を的確に評価す るためには雨量の精密測定が不可欠である。これまで雨量は転倒ます式降雨計(検出限界1mm) を用い1時間毎に記録する方法で測定した。この方法では降り始めの時刻の同定及び微量降雨 (1mm以下)の測定ができなかった。また,得られたデータはバブルカセットに記録し,後日 パソコンで読みとる方式であるため,雨量と自然放射線の変動をリアルタイムに比較することが できなかった。今回,新たに検出限界が0.0083mmの降雨強度計を設置した。本装置は雨滴をフォ トトランジスタを用いたパルスカウント方式で検出するため,放射線モニターのスケーラを経て ワークステーションに直接データを取り込むことができる。したがって,自然放射線の変動と雨量 のリアルタイム比較が可能になった。本装置は降雨による自然放射線の変動と実験起因の放射線 とを区別するための対策の一つとして有効であると考えられる。