静電容量方式による内部摩擦測定装置の制作

名古屋工業大学 工学部 材料工学科 ○玉岡悟司

材料の力学的・機械的な性質を非破壊で測定する方法に内部摩擦の振幅依存性がある。内部摩擦の振幅依存性を 利用すれば、半導体基板上の薄膜の力学的性質について、薄膜を基板につけたまま測定することができる。 我々はこれまでにピックアップコイルによる電磁力方式で内部摩擦の振幅依存症を測定してきた。しかし電磁力 方式では、非磁性材料は測定できないため、資料に磁性材料(鉄片)などを貼付しなければならない。とくに半導 体基板は軽量であるため、鉄片貼付の影響を受ける可能性がある。また試料振動に永久磁石を用いるため、200℃ 以上の温度での測定は不可能である。 そこで新たに静電容量方式による内部摩擦測定装置を試作した。静電容量を利用すれば、磁性材料だけでなく、 導体・半導体試料であれば鉄片を貼付せずに、そのままの状態で測定することができる。さらに電極に耐熱材料を 用いれば、高温度での測定も可能となる。 一般的に静電容量方式では電磁力方式に比べ、試料を振動させる力(駆動力)が小さいため、振幅依存性の測定 は困難である。今回は、できるだけ振幅を大きくするように高圧電源モジュールを使い、試料と対極間に放電が起 こらない程度の高電圧をかけて振動させるようにした。振幅の検出は、現状では市販の検出器(ギャップディテク ター)を使用しているが、高温装置への組み込みができないなどの問題もある。検出器についても試作途中である が現状報告する。