加速器のためのシーケンサ評価

高エネルギー物理学研究所 ○白川明広、阿部 勇、中原和夫 2.5GeV電子線形加速器においては、電子ビーム集束用電磁石電源や真空機器の制御にシングルボードコンピュ ータ( SBC )を用いている。SBCの役割は、電磁石電源等の制御と、専用の通信ネットワークを経由して加速 器制御卓のコンピュータと情報の授受を行うことである。このシステムは仕様開始後既に十数年を経過してお り、今回これを更新する目的と、また進行中の KEKB 計画に沿った入射器改造に伴い、コントローラを増設す る必要があるため、シーケンサを用いた新たな制御システムを設計することとした(図参照)。新システムで は、通信経路にイーサネットを使用し、UDP/IPプロトコルによる通信を行う。シーケンサをこの種の用途に使 用することは、これまで動作速度、通信の問題等があったためあまり類例がなく、採用するに当たって、性能 評価を実施した。評価のポイントは、1)アナログ信号の処理速度、2)通信速度、3)周囲温度変化による出力信 号の安定性、4)電磁ノイズ耐性、といった点において所要 の性能を満たすか否かである。これらの点をクリアするな らば、必要性能を満たした上で、シーケンサの持つ利点、 すなわち低コスト、簡便な取扱制、良好な保守性、占有ス ペースが小さい等を活かしたシステムが構築できる。 現在までの評価結果では、シーケンサを使用する上で特 に問題はないと見られ、実装段階に入っている。その評価 の内容について、詳しく報告する。