高速回転する多翼ファン翼間流れの可視化技術
埼玉大学 細井健司、川橋正昭
多翼ファンは、他のファンに比べて高風圧、大風量が得られ、比較的低騒音であるという特徴があることから、車載用
空調機や換気扇などに使用されている。このファンが高速回転すると、大騒音化や効率の低下などの問題が発生するため
多翼ファンの設計や流速計測による流れの評価などが必要不可欠である。特に前向き翼を有する羽根車が高速回転する時
の翼間流れの可視化は、羽根車効率や空力騒音を予測するのに重要である。この流れへの流速計測法には、火花追跡法や
レーザドップラー流速計、熱線流速計などがあるが、それから求まる流速が点計測、平均流速値であり、さらに空間的な
瞬時流速が求められないなどの欠点がある。ところでスペックル流速計は、瞬時の流れ場を可視化し、得られたスペック
ル写真から局所流速を求める計測法である。この方法において流れの可視化写真を得る照明方法には、ストロボ、パルス
レーザを用いる方法さらに連続発振レーザとオプティ
カルチョッパーを組み合わせた方法、レーザビームを
スイープ照明する方法がある。著者は、デュアルビー
ム照明法によるスペックル流速計をT字ダクト内合流
流れや車載用ヒータユニット内流れに適用してきた。
そこで、本報告ではこのデュアルビーム照明法を高
速回転する多翼ファンの翼間流れに適用する際の問題
点、実験法法や翼間流れの計測例を紹介する。実験装
置は、図に示すように多翼ファン、光源、回転シャッ
ター、ポリゴンミラー、デュアルビームスイープ光学
系からなる。多翼ファン羽根車の枚数と回転数は、42
枚と2000rpm である。得られた結果は、羽根車翼間流
れの状態を定量的に明らかにしている。