遠赤外レーザ干渉計用位相検出回路の設計

核融合科学研究所 ○伊藤康彦1) 幅驥一郎1) 江尻晶2) 川端一男2) 1)技術部 2)プラズマ計測研究系 核融合科学研究所では大型ヘリカル装置(以下,LHD)が平成9年度の完成に向けて現在建 設中である。LHDでは,その完成後に行われる実験によって生成されるプラズマの最も重要な 基本パラメータの一つである電子密度の測定を行うため,サブミリ波帯である波長119μmの 遠赤外線レーザー光源を用いた大型の多チャンネルマイケルソン型干渉計装置を現在製作中で ある。本干渉計装置はプラズマ中を通過した遠赤外レーザー光が屈折によりプラズマの電子密 度に比例した位相変化Δφを受けることを利用し,Δφを含むサブミリ波信号を周波数1MHzの 低周波にビートダウンした後,ビート信号を位相検出回路によりΔφを電圧に変換しコンピュ ータに取り込むことによってプラズマの電子密度情報を得ようとするものである。 核融合研究所ではCHS,JIPP T-IIUと呼ばれる既存のプラズマ実験装置の干渉計におい ては,15フリンジ(1フリンジは位相変化の2πラジアンに対応)迄の測定が可能な位相比較部 が4bitの位相検出回路が用いられている。しかしLHDではプラズマの直径が約3倍となるため プラズマの透過光路が長くなり,またより高い電子密度の測定を行えるよう,64フリンジ以上 の測定が可能な位相検出回路が必要となり,従来の位相比較部を8bitに拡張した位相検出回路 を試作し動作テストを行った結果,位相比較部の僅かなタイミングのずれが原因と思われる誤 動作が観測された。 研究会では前述の誤動作を解消するために行った試作回路の動作試験及 び回路の改良について報告する。