技術推進部について
分子科学研究所は,昭和50年(1975年)に創設され,同時に,技術分野での研究支援を目的として技官を組織した技術課が発足しました(文部省教室系技官が組織されたのは、分子科学研究所技術課が最初です)。技術課は所長直属の技術者組織であり,各個人のもつ高い専門的技術により研究者が研究しやすい環境をつくり,研究に専念できるように支援しています。
具体的には,
高度な技術知識が必要とされる、大型研究装置および施設や共通実験機器の管理運用。
機械・電子回路・理化学ガラス製作、プログラミングなどの専門的技術で直接に支援。
研究室で研究を直接に支援。
所内ネットワークの管理運用。
研究広報活動。
研究所の安全衛生管理。
平成17年度に技術課は班の編成を変更しました。これは研究への迅速な対応のためでした。技術課の役割は研究の動向により変化していくので,これからも幅広く柔軟に技術支援体制を構築していきます。また,研究しやすい環境を作るために,技術課とリンクした受付機能も重要になります。来訪者への窓口としての役割だけでなく,所内の研究者の窓口として機能していくようにしています。
令和3年度に技術推進部に改組しました。ライン制ではなく職員の技術力を生かした組織形態に変更し、職階と役職に分離しました。職階は主に技術力で評価され、役職は主にマネージメント力による評価されます。
技術課では研究の動向,高度化する技術に対応するために,特に,外部の技術者との交流を通して外部(新)技術の吸収及び既知技術の向上を目指しています。
大学共同利用機関法人になってから,安全衛生・防災の分野で,岡崎に設置されている3研究所―分子科学研究所・基礎生物学研究所・生理学研究所 ―の技術推進部/技術課の協力関係は強化され,これからは,技術者の協力関係を自然科学研究機構5研究所まで拡大していこうと考えております。
(1)技術研究会
技術課発足時より,外部技術者組織との専門的技術の交流の場として,また分子研にない技術を取得する場として研究会を開催してきました。技術研究会の一つの特徴は,いろいろな失敗を積極的に発表しあうことです。つまり,「新しいことを行うのだから当然失敗はある。それらの失敗を公開して共有することで,同じ過ちを繰り返さないことができる。また,失敗のなかには将来の新しい技術の芽が隠れていることもある」という積極的な意味を持っています。そのような趣旨で始まった小さな技術研究会も今では,数百人規模の研究会に成長しています。平成17年3月に分子研で開催された技術研究会は,発足30年目の節目の年でした。岡崎コンファレンスセンターには全国から320名の技術者が集まり,熱心な討論を繰り広げました。
(2)人事交流
分子科学研究所と他の共同利用研究所や大学の技術者同士が,数年間所属を移してそれぞれの機関の業務を行います。それぞれの機関で発展させ機関固有の技術になっている技術を会得することで,技術者個人の技術の幅を広げ,かつ分子研の保有する技術の幅を広くする役目を担っています。
人事交流実績
装置開発室/ | 名古屋大学理学部 |
極端紫外光実験施設/ | 北陸先端科学技術大学院大学 |
(3)技術受入研修
分子科学研究所では,大学などの技術者を短期間だけ受け入れて,共同作業を行ったり相互に技術教育を行い技術向上を図っています。
(4)資格取得
装置や施設の管理や運営を行うには,多くの資格が必要です。技術課員が取得している資格の種類だけでも,37種類あります。大学共同利用機関法人では,労働安全衛生法関係の国家資格・講習資格も必要です。技術職員は,業務上必要な資格を取得することで研究所の運用に積極的に関わっています。
(5)受賞
在職中に受賞した主なものをここでは掲載しています。
氏名 | 受賞名 |
---|---|
高橋 重敏 | 吉川英治文化賞(1981) |
早坂 啓一 | 日本化学会化学研究技術有功賞(1985) 低温工学協会功労賞(1991) |
酒井 楠雄 | 日本化学会化学技術有功賞(1995) |
加藤 清則 | 日本化学会化学技術有功賞(1997) |
西本 史雄 | 日本化学会化学技術有功賞(1999) |
山中 孝弥 | 日本化学会化学技術有功賞(2004) |
堀米 利夫 | 日本化学会化学技術有功賞(2005) |
鈴井 光一 | 日本化学会化学技術有功賞(2007) |
吉田 久史 | 日本化学会化学技術有功賞(2008) |
水谷 文保 | 日本化学会化学技術有功賞(2009) |
青山 正樹 | 日本化学会化学技術有功賞(2011) |
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